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はるよこい


はるよこい

 はるよこい はやくこい
 あるきはじめた みーちゃんが
 あかいはなをの じょじょはいて
 おんもへでたいと まっている


という、童謡があります。
この歌詞、これと言って不思議なところなんてありません。
が、ただ一つ。

「じょじょ」って何だ?

というところから、独自の解釈を行ってみることにしました。
世間ではそれを「牽強付会」と呼ぶらしいです。
まずはキーとなるこの行から。


あかいはなおの じょじょはいて

じょじょ。じょじょです。
……ジョジョ? です?

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つまりこうですか。

「赤い鼻緒の ジョジョは居て」
草履か雪駄か下駄かはわかりませんが、どうやら赤い鼻緒の履物をつけた、ジョースター家の末裔がどこかにいるようです。予言めいてますねー。さて、どこにいるのか。一つ上の行を見てみることにします。


あるきはじめた みーちゃんが

そう、「ミーチャンガ」、です。要塞や収容所? おそらく要塞です。前の所に、「歩き始めた」とありますから、多足歩行型移動要塞「ミーチャンガ」、を現わしているのでしょう。なのでここは

「歩き始めた ミーチャンガ」
ですね。


おんもへでたいと まっている

ここは普通に解釈をするべきですね。草履はいたジョジョが移動要塞「ミーチャンガ」の外へ出たがっている、ということです。つまりここは普通に

「おんもへ出たいと 待っている」
です。


ここで一行目へ戻りましょう。


はるよこい はやくこい

普通に理解をすれば、
「春よ来い、早く来い」
と春を待ちわびる心を表しています。でも、はる? 季節の春? 春が来れば移動要塞「ミーチャンガ」の外に出られるんでしょうか?そうではなさそうですよね。では、「はる」とは? 
ここで思い浮かぶのは「ハルサーエイカー エイカーズ」。そう、沖縄のヒロインの物語です。

 

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主人公は田畑ハル。まさしく彼女を呼んでいるんです。

「ハルよ来い 早く来い」
ということですね。


まとめると、


ハルよ来い

ハルよ来い 早く来い
歩き始めた ミーチャンガ
赤い鼻緒の ジョジョは居て
おんもへ出たいと 待っている

なんとサスペンスに満ちた唱歌だったんでしょう!


牽強付会、終わり!

 

 

※「じょじょ」とは、草履の幼児語です。

 

 

 

喉を通り過ぎる嫉妬は
とてもとても苦くて
お砂糖に漬けてしまえば
甘美なお菓子に変わるのかしら


nina_three_word.

Including
〈 砂糖漬け 〉の〈 嫉妬 〉

ひがん

此岸と彼岸を隔てるものは
洋の東西どちらでも
川が流れているものよ
西にゃステュクス、東にゃ三途
渡し賃なら銭六文よ
手甲脚絆の装束設え
彼女を迎えに彼岸迄
戻ってくれるというのなら
反魂香とて試しましょうぞ
逢瀬立ち切り彼岸と此岸
神や仏のねぇもんだ
彼岸に神は居るめぇよ



nina_three_word.

Including
〈 此岸 〉
〈 神 〉
〈 彼女 〉

埋めちゃえ

今、目の前にある
半透明の硝子で出来た楕円球
聞けばそれは
言霊を記録するカプセルだという

ただし

誰が
何を

記録したかもわからないという

流れ出る言霊は
福音だろうか
それとも災禍だろうか

いっそ割ってみたい気もするが

穴掘って埋めちゃえ


nina_three_word.

Including
〈 カプセル 〉
〈 言霊 〉

宵の明星

それは例えば子どものころ

父との銭湯の帰り途

買ってもらったアイスキャンデーの嘘くさい甘さに満足して

父と見上げた空に輝いていた

 

それは例えば彼女と二人

繋いだ手のほんのわずかな温もりだけを拠りどころに

手放し難くてゆっくりと

彼女を家へ送る道すがら輝いていた

 

宵の明星 一番星

 

僕は今

その同じ星を見て

手放してしまったものや 失ってしまったものを想い

涙を流す

 



nina_three_word.

Including
〈 一番星 〉

扉、真理

 隣人が壁を何度も叩いているのは、さっきからわかっている。でも、その叩く音が状況を悪化させていることを、彼(彼女?)は理解をしていない。その叩く音が、奴らを呼び寄せる一助となっているのを全くわかっちゃいないんだ。奴らを退ければ、僕はこの世界の智慧を手に入れることができるというのに!

 

 一時間ほど前から、壁のシミが何かの意思を持ったかのように動き出した。一時期流行った立体視のように、シミの所だけが不自然に浮き上がっていた。絡み合った紐状のものが、右回転、或いは左回転を繰り返しているように見えた。この時に僕は悟った。これは何かの啓示なんだと。何かの窓が開く、その前兆なのだと。それを受け入れるのが僕の運命なのだ。

 しかし、それを邪魔するように、壁一面に文字が浮かんだ。何が書いてあるか読み解こうとしたが、一部の文字は崩れ、一部の文字はニキシー管のそれのように変わり続け、残りは、といえば既にゲシュタルト崩壊を起こして文字としての認識が出来なくなっていた。何か呼びかけているような気もしたが、それすら、言語として認識をすることができず、音の連なりとしか理解できなくなっていた。

 僕は、これは奴らの妨害なんだ、と直感した。奴らがこの場に顕現してしまったら、心理の窓は二度と開かなくなる! 抵抗するんだ、抵抗の意思を示すんだ! 力の限りに叫べ!

 

 真理の窓は周世に僕のものだ、邪魔はさせない!
 真理を恐れるものよ、立ち去れ!
 立ち去れ!
 立ち去れ!

 

 部屋のドアノブを、ガチャガチャと回す音が響く。ついに奴らが来た! 邪魔はさせない! 
 果物ナイフを手に取って鞘を払い(これが一番鋭利だ)、入り口のシリンダー錠を開放した。そして戸が開くと同時に相手に深々と突き刺す。……隣人だ。いや、隣人の姿をした奴らだ、その証拠に見ろ! この瞳を見るんだ!

 

 瞳が、山羊の瞳のように縦に二つ。奴らじゃない、奴らじゃなかった! 僕は、自ら真理の扉を閉ざしてしまった!



nina_three_word.

Including
〈 ドアノブ 〉
〈 隣 〉
ゲシュタルト崩壊
〈 山羊 〉

Tさん、憤る

 朝からTさんに呼び出された。どうしても話したいことがあるんだと。何事かと思っていつもの安ホテル、の向かいの路上カフェへ。Tさんはすでに練乳のばっちり入ったコーヒーを前にして、難しい顔で腕組みをしていた。
 どうしたんですか、と尋ねると、今朝、とんでもないニュースをやっていた、と憤っている。
 なんでもドイツで初老の夫婦が逮捕されたと。罪状は児童虐待と未成年略取。貧しい途上国で幼い子たちを養子縁組して連れ帰り、性的な虐待を加えていたとか。なかなかの外道だ。しかも連れ帰った人数と保護された子供たちの数が合わない。ってことはそう言うことなんだろうね。しかし、Tさんもそんなに人のことは言えないんじゃないのかな。20歳年下の彼女はどうしたんだ。
 Tさん曰く、虐待を加えるような奴と一緒にするな、ましてや殺すなんぞ以ての外だ、ということらしい。これから綺麗に育っていく子たちをもっと大切にしろ、と。と言ったところで説得力無いですよ、Tさん。まあでも、憤るのはわかります。なんか搾取されてるな、と思えるくらいには、その貧しい途上国に深入りしてしまってるんですよ、二人して。
 けっこう、Tさんは熱い人だったんだなぁ、意外な一面を見た気がした。



お題:「鯨の竜田揚げ」「養子」「ドイツ」


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