台詞しかない茶番劇

「ここまでだ、もう逃げ場はないぞスムース・オストアンデル!」
「くっ、もう後はないか。……しかし、なぜ滝だ? こういう場合、崖とか採石場じゃないのか」
「リスペクト、ってやつだ」
「何のだ」
「技の1号、力の2号」
「風車が回るやつか」
「そういうことだ」
「私とて、ただやられるわけにはいかん。行くぞ、この爪の一撃を受けてみよ!」
「そういうわけにもいかん」
「……ちょっとくらい、俺にも見せ場をくれよぉ」
「当たると痛いじゃないか、お前の爪でかいし」
「仕方ないだろう、生まれつきなんだから。人の身体的特徴をあげつらうのは失礼だぞ」
「まあ、私に倒されるのは、定めと思ってあきらめることだな。行くぞ!」

 なんかわからんがとにかくすごい技がさく裂っ!!

「ぐわぁーーーーーっ! って貧弱かっ!弱っ!」
「なぜ倒れない! さては貴様、強化怪人だな!!」
「いやそうじゃなくて。お前が貧弱なんだよ!」
「……あのさあ、空気を読もうよ。こういう場合、ヒーローが華麗に怪人を倒して決めポーズを取るっていうのが流れだろ? 君も怪人やって長いんだろ? そのくらいは配慮してくれないとさ」
「……あ、なんかすいません」
「もう一回行くぞ?」

 なんかわからんがとにかくすごい技がさく裂っ!!

「わーやられたー」
「あまりに棒読みだが、まあいいか」

 

「……スムース・オストアンデルがやられたか」
「……奴は我ら四天王のうちでもまだまだ小物」
「……いや、実力的にはナンバーワンだったんじゃね?」
「しーっ。こう言っておかないと格好付かないだろ?」
「俺ら、スムース・オストアンデルと違って、政治的駆け引きと年功序列で四天王になったんだしな」
「でさ、この後どうする? あの貧弱ヒーロー、調子に乗ってここに乗り込んでくるぞ」
「みんなやられることになるなぁ。フリだけど」
千羽鶴でも折ってやったら、許してくれないかな」
「無理だろうなぁ」

 


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Including
〈 滝 〉
〈 爪 〉
〈 鶴 〉
〈 定 〉