あとがきをかえて

    とある公園。
    写生をする児童とそれを見回る先生。
    先生がひとりの児童に話しかける。

 

その1
先生 :「冬真君は何を書いているんだい」
冬真 :「ええっとね、ふん水と、おさんぽしている犬と、美術館」
先生 :「他には何を書いたんだい?」
冬真 :「お花とね、あとが、木」

 

    視線、ゆっくりと左側へ移動する。
    ひとりベンチに腰掛ける若者。
    視線、若者に近づき、口元が大写しになる。

 

その2
若者 :「確かにな、俺は格好も汚いし陰気な顔をしてるしな。
     でも、誰かから好かれてみたい、人並みに彼女だって欲しいんだ」

 

    視線、少し引いて若者の全身を捉える。

 

若者 :「もう、女の人に好かれなくたっていいからさ、せめて、せめてだよ。
     野良猫ぐらいには好かれたいよなぁ。あと、ガキ」

 

    視線、そのまま上昇、俯瞰で公園を見下ろす。
    公園の画像、少しかすみ、本を読む女性がオーバーラップしてくる。

 

その3
女性 :「……、なんかね、ちょっと説明がくどくない?」

 

    決してそんなことはない、

 

女性 :「カメラ割りがね、ちょっとくどいの。もっとざっくりでいいから」

 

    女性、そう言うとまた本に目を落とす。
    見た目は三十歳過ぎたところ。黒髪、ストレート。
    眼鏡着用。彼氏はいそうもない。
    ちょっとダイエットの必要がある。

 

女性 :「大きなお世話だ。だいたいお前は余計なことを言い過ぎるんだよ」

 

    女性、こんな物言いなのでなかなか彼氏もできない。

 

女性 :「あ! ト書き、余計なことを言うな!」

 


 

あとがき
 いつもいつも取るに足らないおポンチなお話に付き合っていただき、誠にありがとうございます。ninaさんとこが新装開店する、ということで久しぶりに書いてみました。
 今回のお題は「あとがき」、ということで。仕掛けに気付いて、クダラネェ、と言っていただければ、私の勝ちにしておきたいと思います。
 それではまた、どこかでお会いしましょう。

 

2naword

including
-あとがき-