処方箋

「……どうしました?」

「あの、昼間眠くて困っているんです」

「ほう」

「仕事場で、あの、昼休みなんですけど」

「昼休みなら別にいいんじゃないですか?」

「いえ、あの、他の会社の方もいらっしゃって、そのお恥ずかしいんですが、……鼾をかいているらしくて」

「なるほど」

「それで現場の先輩からも責められてて、気分が落ち始めているんです」

「それは大変ですね」

「それで、このままだと以前にやった心の病が出そうなので、その、処方をお願いしようと」

「そうですねぇ、それでは、こちらのお薬を。こちらは気分を落ち着かせるものです。毎食後に服用してください」

「あ、ありがとうございます」

「ただし、」

「ただし、何ですか?」

「ただし副作用がありまして」

「副作用、ですか」

「はい。服用後に、眠気を催すんです」

「……はい?」

「ですから、眠気をですね」

「いやあの先生?」

「はい、なんでしょう」

「私は、眠気を催すのが原因で、それがストレスのもとになっているんですが」

「ええ、なのでそのストレスを穏やかにやり過ごすのにこのお薬を」

「ええそれはわかるんですが。これの副作用は……」

「眠気を催しますね」

「これは1日に……」

「朝昼晩。毎食後に服用してください」

「……お昼も飲むんですよね」

「ええ、そうですね。そうなります」

「で、このお薬は飲むと……」

「眠くなりますね」

 

「私の根本の悩みって、何でしたっけ」