「真景 累ヶ淵」を読む 壱・宗悦殺し
主な登場人物
- 皆川宗悦 : 鍼医者。副業で高利貸。
- 志賀 : 皆川宗悦の長女。
- 園 : 同 次女。
- 深見新左衛門 : 小普請組の旗本。
- 新左衛門の奥方 : 深見新左衛門の妻。
- 三右衛門 : 深見家の下男。
あらすじ
十二月二十日、宗悦は深見新左衛門艇に、元本合わせて金三十両の取り立てに行く。深見は小普請組、さほど裕福ではないうえ酒浸り。この日も酔って宗悦を迎える。
借りたものは返せ、無い袖は振れぬの口論となり、深見は宗悦を脅すつもりで刀に手を掛け峰打ちに。したつもりが酔っているために左肩からざっくりと斬り殺してしまう。
宗悦の叫び声を聞いてやってきた奥方は、血に塗れ倒れている宗悦を見つけて深見を問い質す。正気に戻った深見は、事の次第に気付く。
始末に困った深見は、宗悦の死体を油紙に包み葛篭に入れ、下男の三右衛門に金を与えて、葛篭をどこぞ人気のないところへ捨ててそのまま故郷へ帰れと言い渡す。三右衛門は臆病ゆえに、秋葉ノ原辺りに葛篭を置いて、そのまま故郷の下総国に帰ってしまう。
秋葉ノ原の長屋連中がこの葛篭を見つけ、ひと悶着あって、中から宗悦の死体を見つける。死体は宗悦の娘、志賀と園に引き渡され、弔われた。
解説というか雑談
按摩で金貸しの宗悦が、深見新左衛門に斬り殺される。これが、これから始まる怨念・因縁・業の連鎖の始まりです。ある意味、「たった三十両」の諍いが招いた災禍です。
そして上で名を挙げた人たちは、この先もお話に関わってくるので、ご油断を為されませぬように。
次回から、怪談めいて参ります。
それでは。