PowerShellからHyper-Vの仮想環境を、どうこうするのです。
ちょっと考えればわかることなんですが、メモ代わりに書きます。
Hyper-V上に構築した仮想環境は、Powershellからコマンドを発行することで、以下のことができます。
- 起動(Start-VM [仮想環境名])
:電源ONに相当 - シャットダウン(Stop-VM [仮想環境名])
:電源OFFに相当 - 停止(Stop-VM [仮想環境名] ~Turnoff)
:電源ブチ切りに相当。まともな運用にはお勧めしない - リセット(Restart-VM [仮想環境名])
:リセットボタン押下に相当。できればやらない方がいい - 保存(Save-VM [仮想環境名])
:休止モードに相当 - 一時停止/再開(Suspend-VM [仮想環境名])/(Resume-VM [仮想環境名])
:仮想環境の一時停止と再開。VMだからできる技。
でもできれば、VMの仮想OSの中からちゃんと上げ立てをするのが吉。
※本当はもっといろんなことができます。
なお。
仮想環境の状態を知るには、仮想環境オブジェクトのプロパティ, stateまたはstatusを見ることで確認できます。
(Get-VM -Name [仮想環境名]).State
または
(Get-Vm -Name [仮想環境名]).Status
で確認できます。
追記:
State と Statusでは表示される内容の意味合いが違いました。
Stateでは、仮想環境上のOSの稼働状態(上がっているか落ちているか)、
Statusでは、仮想環境自体の状態(OSの状態は関係ない)、
が表示されます。
追記ここまで。
最後に。
PowerShellは右クリックから「管理者として実行」をすること。
役に立つ人がいればこれ幸い。
了
信仰の始まりというものは
ラスベガスからの帰り、荒野の上空を飛ぶ飛行機。
見たいものと驚きの充足感と、
嫌な日常に戻る憂鬱さを抱え、その飛行機の中にいる。
そのとき
窓の外を眺めた時に見えた、機影を囲む虹。
ブロッケン現象、単なる科学的現象、
科学的現象だと分かっているけれども。
信号待ち。
思い通りにならない苛立ちを抱えて
持ち帰りのピザ二枚を持って見上げる空。
どんよりと黒く垂れこめる雲。
冷たく、湿気を含んだ強い風。
顔を上げ、見上げた先に
ぽっかりと空いた雲間から見える青空。
実った麦のように、黄金色に輝く雲の縁。
地に射す光、ヤコブの梯子。
人が神を信じる、なんてのは
こんな時なのかもしれない。
きっと理屈ではないのだ。
だがすまない、
もう少しの間、距離を置かせてくれ。
選択
さて、どうしようかと考えている。
上手くいかない人生を呪ってヤケ酒を喰らい、いつしか深酒となり、終電を逃した深夜、知らぬ街で道に迷ってしまった。
迷った道の突き当り、三差路となった何所とも知らぬ分岐点に、
黒づくめのスーツを着て、
黒い帽子をかぶった男が、
訳ありな笑みを湛えて、
立っている。
男は言った
「君には選択権がある
左の道を行けば、過去から人生をやり直せる
右の道を行けば、富と名声が得られるが、今までのもの全てを失う
どちらにも行かなければ今までと何も変わらないただし、1kgの金をやろう
決めるのは今のうちだ
未明を過ぎれば、日が昇れば、すべての選択肢は意味を為さない
どうするかい?」
なぜこの胡散臭い男の言葉をそのまま信じたのかは分からない。とても自然なことだと思えたのだ。悩むことなどあるものか。どうせ今など碌なもんじゃない。右だ、右の道だ。
しかしここにきて、幾らか酔いが醒めてきた。過去からやり直すのも悪くないと思えてきた。嫌なことが多かったけれど、いいこともあった、今でも友達でいてくれるいい奴もいる。それまですべて切り捨てるのか。
僅かな星の瞬く夜空はいつしか群青色を帯びていた。
さらに酔いが醒めてくる。ホルムアルデヒドがひどい頭痛を誘う。
右か?
左か?
考えるだけで頭痛はひどくなる。
ひどくなる頭痛はまた考えを短絡化させる
右だ。いや左だ。
金? 金塊?
群青色はいつしか藍となっていた。長く引き伸ばされたような灰色の雲に、少しだけ赤みが差している。日が昇るのも近い。
「どうしますか? 残りの時間はわずかですよ」
黒づくめの男は慇懃に言い、こう続けた。
「昔あなたに、似た質問をしたことがあるんですがね。同じ選択をしたらどうですか、意気地なしさん? いや選択すらできませんか」
そうか、思い出した。
お前は昔、駅にいたな。ひとをからかって楽しいか、この悪魔め。
「悪魔! まさしくその通り。ただ十字路じゃなくて三差路なのが気に入りませんけどね。で、どうしますか?」
貼り付けたような笑顔で悪魔は問うてきた。俺はポケットから小銭入れを取り出し、一枚、適当につかんで宙にはじき上げた。
表なら右へ、裏なら左へ。
……こんなことがあるのか。投げ上げたコインは、路上に突き刺さった。
どうするんだ、これ。
夜が明けた。
俺のポケットには蓋が空いたままの小銭入れと、1kgの金塊が入っている。
悪い選択じゃない、そう思う。
了
「小銭入れ」
「未明」
「分岐点」
#単発三題噺
不貞の精算
「うん、私は平気だから。気にしてなんかいないよ」
隣に腰掛けている彼女は、僕の方を見ずにそう言った。
つい先日、浮気相手がうちに乗り込んできた。僕の留守を狙って。その日家に帰ると、彼女は感情もなく淡々と、僕にその事実だけを伝えた。怒ることも、なじることもせずに、だ。必死な言い訳と挙句の土下座。その脇を、彼女は何事もなかったように寝室へ向かった。
その晩僕は、僕たちは義務のようにセックスをした。贖罪だろうか、だが彼女はセックスが好きではない。
その週の土曜日彼女が不意に、公園へ行こう、と切り出した。大きな公園がいい、新宿御苑とか。僕に選択権なんかない、いいね、ぜひ行こう。それじゃ5月5日の端午の節句にしないか、と僕は提案をした。そう、それならまだ一週間はある。それまでには浮気相手と手を切らなければ。
4月30日に尋ねた時には、話を切り出すことができず。そのまま、2度セックスをした。
5月2日に尋ねた時には何とか話を切り出したのだが、怒り、泣く浮気相手をなだめているうちにセックスをしてしまい、話はうやむやになった。
5月4日。もう後はない。今日こそしっかりと手を切らねば。
呼び鈴を何度か押したが、浮気相手の返事はなかった。仕方なく家に帰ると、彼女はいつになく嬉しそうに、僕の帰りを待っていてくれた。明日が楽しみで仕方がない、今日は早く寝ましょう。
その日のベッドの中で、付き合ってから初めて彼女自身からセックスを求め、僕の愛撫に応え、絶頂を迎えていた。僕は枕元の水を一口飲んで、いつになく深く眠った。
翌朝、僕らは新宿御苑へと向かった。途中、老舗の和菓子店でよもぎの柏餅を5つ買っていった。バックパックを背負った彼女は、とても嬉しそうだった。
新宿御苑は、美しかった。青く澄んだ空に新緑のコントラスト、萌え出る若芽、タンポポの鮮やかな黄。すべてが美しかった。芝生にレジャーシートを敷き、柏餅を食べ始めた。よもぎの青い香りが鼻の奥をくすぐる。
「うん、私は平気だから。気にしてなんかいないよ」
隣に腰掛けている彼女は、僕の方を見ずにそう言った。
僕は気付いていた。鼻の奥をくすぐるのは、よもぎの青い香りだけではないことを。新宿御苑に着いてから少しづつ異臭がしていることを。彼女のバックパックの底から、少しづつだが何かどす黒いものが漏れ出ていることを。
僕の背中を冷たいものと電流が走り、耳の奥がキーンとなり始めた。
僕は、幸せそうに柏餅を食べている彼女に話しかけた。
「ねえ、そのバックパックに入っているものは何か、聞いてもいいかな」
了
#単発三題噺
「バックパック」
「端午の節句」
「新宿御苑」
#チープな戦闘描写を自己流にアレンジ選手権
「けっ、その程度かい」
巨大な肉包丁をだるそうに下げ、『悪食の王』はシャープナーを忌々しげに壁に打ち付けて、俺の方を睨みつける。
剣の技も糞もない、只々力任せに肉包丁を二撃、三撃と打ち据えてくる。それを避け、捌き、隙を見て『悪食の王』の肥満した腹に剣で斬りつけ、突く。
だが、脂肪の層とそれを覆う革鎧のような硬化した皮膚が傷を負わせることを拒んでいた。どうすりゃいいんだ、こんなもの! 俺は頭の片隅で神を呪った。やつの赤く光る牙すら忌々しい。
……赤い光?
そういや今までの奴ら、必ずどこかしらが赤く光ってやがったな。そして、その光の場所が”奴らの弱点”だった。……ひょっとして俺は、敵の弱点が赤い光になって見えているんじゃないか? だとしたらこいつの弱点は牙だ、幾人の同胞を噛み殺したか分からない、忌々しい二本の牙だ。
神様、さっきのは撤回だ。あんた最高だよ、この”神の眼”に接吻を!
おれは、含み笑いをする。が、次第に笑みは大きくなり、いつの間にやら呵呵大笑と呼ぶに相応しい大声となる。
「どうした、打つ手がなくて気が触れたか?」下卑た笑いを浮かべ、『悪食の王』が煽り立てる。
「読めた、読めたよ、……お前の弱点」俺は大剣を納め、厚刃のナイフを逆手に構える。
何を言ってやがる! と叫んで『悪食の王』は芸もなく、肉包丁を最上段から力任せに振り下ろす。それを半身に躱し、奴の肥満した腹を足場にして駆け上がり、首筋にしがみ付く。
「よう、テメェの息は臭ぇな」
『悪食の王』に物を考える暇を与えず、ナイフで二本の牙を抉り取る。『悪食の王』は断末魔も斯くやという叫び声を上げ、抉られた牙の跡からはいやな臭気を伴った、糞色の気が流れ出す。
もう『悪食の王』はそこにいない。牙の能力で硬化していた肌は見る影もなく、あの巨大な肉包丁は、それを支える筋力すらなくなっているのか手元から滑り落ち、がらん、と大きな音が部屋の中で反響した。
俺は大剣を構え直し、ゆっくりと奴に近づく。果たして、奴が最後に見た俺の顔は、どんなものだったろうな。
「じゃあな、哀れな『悪食の王』。……これは、アランの分だ」
俺は、今まで餌食となった同胞の名を一人一人呼びながら、牙を失った化け物を斬り付け、突き通し、抉る。返り血が籠手を、鎧を、顔を染める。大剣にこびり付く黄色い脂肪は、奴が持っていたシャープナーで落とせばいい。
……
「あとは、『邪淫の王』『暴虐の王』『欺瞞の王』、か」
俺は溜息を吐く。”能力”ってやつに気付いちまった。相手の弱点が分かる。剣技なら負ける気はしない。ほぼ無敵じゃねぇか。これで四天王退治か。面白くも何ともねぇ。
「まったく、強すぎるのも困りものだ」
俺は、”神の眼”を封印した。
了
シャトルコック
呼び鈴を押してからしばらくすると、階段を転げ落ちてくるような足音と共に玄関が開いて、千鶴が顔を出した。その時はニコニコとしていたくせに、来客が僕だと分かった途端、つまらなそうな顔になってしまった。
「これ、お前の母ちゃんに頼まれたやつだって」
僕はビニール袋一杯に詰め込まれた林檎を差し出した。千鶴は、ん、とだけ言って、素っ気なくそれを受け取り、奥へと持っていく。どうしよう。僕はここで待っていた方がいいのかな。玄関の隅にバドミントンのシャトルコックが二つ、転がっていた。
しばらくすると奥の方からまたドタドタと足音が聞こえてきた。よく掃除のされた廊下で、靴下をはいて走るものだから、千鶴は玄関先で危うく転びそうになる。
「お母さんがね、ありがとう、って」
千鶴はやはり素っ気なく言った。昔はよく一緒にふざけ合っていたのに、なんか寂しい。千鶴だけ、階段の一つ二つ上の段にいるような感じだ。
「なあ千鶴、日焼け、ずいぶん薄くなったな」
部活命で太陽の下走り回っていた千鶴の褐色の肌は、もう随分と褪せていた。
「うん、やっと白くなってきた」
千鶴は呟くように言った。
「でもさ、部活で真っ黒になってる千鶴のほうがいいな」
僕は空気が読めないんだ。肩のあたりを三つ、思いっきり叩かれた。最後にぽすん、と弱く殴られた。千鶴の目を見ると、涙が少しだけ滲んでいた。まずい、これはまずい。僕は僕自身を責めた。どうしようか、どうしよう。
「肘、治るんだろ」
千鶴は小さく、ん、と頷いた。
「でも、いつになるかわからない。そんなに待つの、辛い、辛すぎる」
「なあ、俺にバドミントン教えてくれない?」
はぁ?! と千鶴。
「ラケット貸してくれよ、俺に教えるのは嫌か」
ちょっと待ってて、今ラケット持ってくるからと、二階の自分の部屋へ、やはりドタドタと上がっていって、やはりドタドタとラケットを二本抱えて降りてきた。
「私、厳しいからね。覚悟しなよ」
千鶴はシャトルコックを、高く打ち上げた。そして、冬の澄んだ空に輝く太陽の中に溶け込んでいった。
了
ふっとさん:
『りんご』『バドミントン』『太陽』で小説を書きましょう。頑張ってくださいね!
チラシの裏の呟き その2
カラオケで歌う歌には2種類ある。
練習研鑽を重ねて上達を目指す歌。
自己満足上等、点数その他一切無視で歌う歌。
みんな違って、みんないい。