神の子孫

「我々第二次調査隊がこの惑星に降り立ってから我々の基準時間でおよそ3週間経過してる。ここまでの状況から言うと、正直なところ調査自体は全くと言っていいほど進展をしていない。
 その理由はただ一つ。我々はこの惑星原生の生命体から歓待を受けている。科学的な進歩を遂げているとは到底言い難いが、ある種のコミュニティを作り、その中で一定の秩序をもって生活をしている。その彼らに、我々は”新たな神”として迎えられた。
 我々の前にこの星に降り立った第一次調査隊が連絡を絶ったため、我々がここに派遣されてきたわけだが、その理由はここにきて分かった。彼らの乗る大圏突入用のポッドが地上に降り立ち、そこから降り立った彼らの姿が、この星の者(?)には、”大きく光る流れ星に乗ってきた神”と映ったのだろう。彼らはこの星で神になったのだ。彼らは突入用ポッドの降り立ったところを聖地として管理し、彼らの神をそこに住まわせていた。というと聞こえはいいが、結局はどこにも出歩けず、ポッド周辺に閉じ込められているのと同義だ。そして、今まで彼らが持っていなかったであろう概念、『宗教』みたいなもの、いや、そのものを持ち込んでしまったのだ。
 当然のことだが我々は現実には神ではない。この身は遠くない将来に朽ち果てる。実際、第一次調査隊もそうであった。我々は聖地へと案内され、今はそこで新たな神として迎えられている。朽ちつつある突入用ポッドの中には、船外活動服に身を包んだまま死蝋化した第一次調査隊の遺体が祭られている。そして我々のポッドの着陸位置も新たに聖地として整備されつつある。我々の運命も同じような結末を迎えるのだろう。
 いや、ただ一つ、第一次調査隊と違うことがある。我々の中には女性がいる。神は子孫を残すことができる」


「……以上が、約4万年前のクロマニヨン人の洞窟から発見された記録装置、いわゆるオーパーツの解析を行った結果です」
「新人は、旧人を凌駕した、か」
「どこの星だったんでしょうね、故郷は」



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Including
〈「宗教みたい」を含んだ台詞〉