惑星なのか?

「この最下層は、どうなっているのですか?」
 航宙ハブステーション”ソードフィッシュ”から、この惑星の陸地、と呼んでいいものかどうか、を見下ろして、案内をしてくれている管制官に尋ねた。
 眼下の景色は、高層建築が隙間なくびっしりと林立し、それぞれが成層圏まで届くか、というほどの高さを誇っている。およそ上層階は連絡チューブで結ばれ、人々は中空で生活をしているといっても過言ではない。
「最下層ともなると、日の光も届かないでしょう。どのように暮らしているのですか?」
 私は重ねて管制官に尋ねた。
「私たちもわからないのです。一番下まで降りたことがないので」
 管制官はすまなそうに答える。
「最下層まで向かう術がすでに失われています。何人かの勇気ある冒険者が下って行った、という話は聞くのですが、中途で引き返すか行方不明になるかのどちらかです」
 そもそも、と管制官は続けた。
「最下層まで行って、本当に地面があるのか、も怪しいと思うんですよ。ただ建築物がびっしりと生えているだけで。ここは本当に惑星なんですかね?」