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裏山の決斗

”小林へ。裏山へ来い。決着をつける”
 とだけ書かれた手紙を俊平から渡された。僕は内心、めんどくせぇなぁ、と思ってはいるのだが、ここらで決着をつけるのも悪くない、と思い始めていた。
 俊平が僕のことをライバル視しているのは知っているんだ。なんでそうなってしまったかも知っている。単純に言えば嫉妬だ。
 僕は先日、町会の夜回りに参加してそれなりの成果を挙げてきた。だが俊平はまだ町会の行事には声をかけられていない。この町では町会の呼びかけがあることが、一人前の大人である証のようなものだから。だから俊平は僕に嫉妬しているのだ。
 文面からすると、今すぐなんだろうな、と思う。なのでいったんうちに帰って準備をしてから向かうことにする。準備を怠っては後手に回るかもしれない。
 15歳にお祝いで買ってもらったハードレザーアーマーを身につける。オーダーメード品だけあって、とてもしっくりと体になじむ。そして、武器はブロードソードを選んだ。

 裏山へ向かったが、ご指定の場所に俊平の姿はなかった。が、俊平の殺気だけはビンビンと伝わってくる。雑木林のようになっているこの場所の、とある一本の木からだ、と気付いたのだがそれよりも早く。

「小林ぃぃぃ! 死ねぇぇぇ!」

という叫び声と共に俊平が上から降ってきた。と思えば鉄製のメイスを僕の頭めがけて振り下ろしてくる。体をひねり、何とかそれを躱した。俊平のメイスが地面に食い込む、が、そのまま僕のあごの先をめがけて俊平のメイスの軌跡がVの字を描く。それをブロードソードで迎撃したが、俊平の馬鹿力の前では止めるのがやっとだった。

「決着をつける、でいいんだな?」
 僕は俊平の真意を尋ねた。
「もちろんだ、小林ぃ!」
 と答えながら俊平は僕の腹に前蹴りを一つ叩き込んで、距離を取った。今日の俊平は気合が違う、勢いが違う。
「昔っからなぁ、小林ぃ、てめえが気に入らなかったんだよ!」
 相当な重量があるだろうメイスを、女性のウエストほどもある太い腕にモノを言わせて、他人の頭をめがけて滅茶苦茶に振り回してくる。だがそれも、なんとなくではあるが冷静に躱していく。

 そろそろケリをつけよう。僕は身を低くして、俊平の懐に潜り込んだ。そしてそのまま躊躇なくブロードソードを、腹のあたりをめがけ切り上げる。鼻先辺りを切りつけたか、鮮血が少しながら散った。

 ここからは剣の動きを止めずにただひたすら斬りつけていく。俊平は斬撃を防ぐため後手後手に回っている。それが苛立たしいのだろう。その時に若干のスキができた。力を込めて薙ぎ払う。そして、俊平の頭が、中空高く跳ね上がった。
 俊平の馘を拾い上げ、備え付けられたゴミ箱に投げ捨てる。ここではそういったことが往々にして起こる。恨むなよ、俊平。

 

お題:「小林」「ゴミ箱」「裏山」

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