2021-01-01から1年間の記事一覧

銀の大地における盛衰の物語

0.未踏の大地 はじめに、円い銀色の大地があった。何一つ穢れることの無い、銀に輝く網の大地であった。 1.霜降和牛の統治 穢れなき大地にまず降り立ったのは、その身に白き霜を纏いし和牛肉であった。少数ではあるが威厳のあるその姿にて、銀の大地を大…

ウマ娘 ~掲示板に載れなかったキミ達へ~

うん、 確かにトレーナーさんに無理言って このレースに合わせてきたんだけど。 分かってるよ、分かってる。 あたしにはちょっと背伸びしたレースだって。 あの娘の末脚、凄かったなぁ。 前の方からレースを進めてバテないこの娘も。 あっちの娘は並びかけた…

ちょっとした燃え尽き症候群

誠に申し訳ありません。 文フリ参加してからというもの、若干燃え尽き気味です。 でもねでもね、 真っ白じゃないんですよ。 どこか、ぶすぶす燻った感じなんですよ。 そこがもやもやして苛立たしい。 ネタは挙がってるんです。 書け、って話なんです。 誰か…

【お知らせ】暫しお休みします

いつもこのカストリ話をご贔屓にしていただき、ありがとうございます。 この度、身の程知らずにも、文学フリマに出展する運びとなりました。 元来私は、あちらもこちらも、などと器用に渡っていけるものでもなく。暫しそちらに注力をさせていただきたく、5月…

「ええ、このところね、陽気もずいぶんとあったかくなってね。こんな時はね、ちょっと一杯ひっかけていきたくなりますね、ええ、ええ。一杯ひっかけるったってね、威勢のいい旦那の煮売屋なんかはいけませんよ、もっとこうね、色っぽい年増のお店でね。ワイ…

渇望

その日、若者と俺は首都高速羽田入り口の近くのコンビニにいた。暖かい缶コーヒーを互いに一本づつ。その熱でかじかんだ指に再び血が通う。それを飲み干したらスタートだ。 キーを捻りセルボタンを押すと、スターターが悲鳴のような音を上げる。ワンテンポ遅…

なんでもない一日

「はい、起きて。私これからお仕事」 この部屋のあるじ、ミイホァが俺をベッドから追い出す。仕方ないなぁと呟き、のっそりと部屋から出ていく。階段へ向かう途中で、恰幅のいい外人(俺は外人じゃないのか? 外人の定義ってなんだ?)と、目も合わせずにす…

オーダー

四つ目の十字路を右へ折れてすぐに、その喫茶店はある。朝のひと時をゆっくりと過ごすとき、またじっくりと思索にふけるときなどに使わせてもらっている。 少し渋くなっているドアを押し開けると、からんころんと決して涼やかとは言えない音が俺を店に招き入…

たべる

僕らはすべてが真っ白な部屋に通され、そして少し離れて向かい合わせに座った。 僕の前には、よく熟したイチジクが、彼女の前には大きなサイズの、茹でたホワイトアスパラガス運ばれてきた。 僕はイチジクを二つに裂いて、しゃぶりついた。柔らかな甘みと溢…

惑星なのか?

「この最下層は、どうなっているのですか?」 航宙ハブステーション”ソードフィッシュ”から、この惑星の陸地、と呼んでいいものかどうか、を見下ろして、案内をしてくれている管制官に尋ねた。 眼下の景色は、高層建築が隙間なくびっしりと林立し、それぞれ…

四月になれば彼女は

四月。 春の匂いを纏って、彼女はやって来た。 こんにちは、こんにちは。ご機嫌はいかが? そう尋ねる彼女に戸惑いながらも、その妖しげな魅力に僕は少しづつ魅かれていった。気が付けば僕は彼女に恋をしていた。 五月。 僕らは一緒に住むことになった。 気…